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まるで夢を見る者のような、
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久しぶりに新鮮ネタ。
っていうかプリティーなみなさんたちのネタが大体百合になってしまうのは何故なのだろう…
そんなわけで今回も女子のみです。mktnと来夢さんです。


あたしの学校と、来夢の学校のバスケ部の練習試合があるらしい。
部活に入っていない一般生徒は応援に来てもいい、ということだったので、ちょうど暇だったから観に行くことにした。

体育館にはこの時期特有の蒸し暑さと、応援席の熱気が入り混じった空気が漂っていた。暑い、と呟きながらあたしは適当に空いていた応援席に座った。ちょうど休憩中らしく、来夢がベンチで水を飲んでいるのが見えた。
全身汗まみれで、シャツがべったりと体にくっついている。髪の毛も、いつもの三つ編み一本ではなくポニーテールにしていたけれど、まるで雨にうたれたようにぐっしょりと濡れていた。それなのに、疲れた表情を見せないで楽しそうに笑ってチームメイトと話している。

試合が始まる。
バスケのルールなんて真面目にわからないあたしは、ただボールがどこに行ったのか、それを追う来夢がどこにいるのかを見るので必死だった。

「パス!!」

来夢の声。それを受けたチームメイトがボールを来夢に向かって投げる。けれど、来夢の前には相手チームの選手がいて、来夢へのパスを防ごうとしていた。
一瞬だった。来夢は相手選手たちの隙間を素早く抜けて、ボールを持っていた。そのままダンクして、ゴールまで走る。

「シュート!!」

チームメイトの声を受けて、来夢がボールを構えて、ジャンプする。手からボールが離れて、ゴールに向かって、飛んだ。

***

「お疲れ様」
「……美希?」

試合が終わってあたしが声をかけると、ベンチに座っていた来夢は驚いたような顔をしてあたしを見た。

「どうしたの、美希」
「どうしたって、来夢が出るって聞いたから見に来ただけよ。何か悪い?」
「いや、別に……。バスケとか興味ないかと思ってた」
「全然わかんなかったけどね」

そういって、あたしは来夢の隣に座る。

「……負けちゃった」

ふっと笑いながら、来夢が言った。
あの来夢が投げたボールは結局ゴールには届かず、それからの試合は相手に攻められ続けて、負けてしまった。

「そう、ね」
「あーあ、やっぱ負けるのって悔しいなあ。試合するのは楽しいんだけどさ、やっぱり勝ちたいよねー」

大きな息を吐き出しながら、来夢は笑う。

「なんで笑ってんのよ」
「……え?」

あたしが言うと、来夢は驚いたような声を上げた。

「悔しいなら、それなりの表情しなさいよ。あんた、全然悔しそうに見えないわよ」
「……そっか」

頷いた来夢の頬に、涙が落ちた。

「チームのみんなにね、頑張ったね、とか言われたの。でも、私、全然、頑張れてない」

ぽろぽろ、と来夢の涙は地面に落ちて染みを作る。
きっと、来夢が求めている言葉は、そんなことない、とか、じゃない。
あたしはきっと、優しい言葉をうまくかけれないだろうから、だから、汗で濡れた頭をなでる。

「なら、次頑張ればいいでしょ」
「……うん」
「お疲れ様、来夢」
「……うん……!」

嗚咽交じりの返事。今まで聞いたことのないような、女の子らしい声に、あたしの頬が、少しだけ緩んだ。









***
ほんのり百合風味……なのか?
来夢とmktnの関係はこんな感じだったらいいなあと思います。
こういう女の子同士で励ましあう姿っていいよね!!(主張)
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