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まるで夢を見る者のような、
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タイトルからして仙蔵話(笑)
真綾と仙蔵の戦いのような愛の日々です。

「仙蔵、俺の思いをそろそろ受け止めるべきだと思うんだ」

 真顔で奴は、私にそう言い放った。名は、龍ヶ峰真綾。奴は、私の手をとって普段では見せないような真剣な目で、私を見つめているのだ。
 ……なんで、私が奴と付き合わなければならないのだ。

「離れろ、真綾」
「嫌だね。俺は、お前が俺への思いを受け取ってくれるまでこの手を離すつもりはない」
「だが、私もお前も男だ」

 一番の問題はそこだ。私も奴も同じ性なのだ。なのに奴は、私に惚れたなどと阿呆なことを言い出した。

「俺は、そんなの気にしない」
「少しは気にするべきだ」
「それでも……俺は、お前が好きだ」

 言葉に、息が詰まる。
 不意に、その真綾の瞳が私を貫いているように思えてしまって、言葉が出なくなった。そして、奴は暖かな手で、私の手を強く握っていた。

「絶対に、この手は離さない」
「……真綾…………」



 目を覚ますと、目の前は暗闇だった。そう、今までのは全て夢。

「夢か……」

 首筋が冷たい。どうやらひどく汗をかいているようだった。それもそうだろう、あんな夢を見たのだから。

「んっ……」

 そのとき、隣から私以外の声が聞こえた。おかしい、この部屋には私しかいないはずなのに……
 恐る恐る暗闇の中、目を凝らして声のしたほうを見る。

「んー……あれ、仙蔵……? やっべ、俺寝ちゃった……?」

 寝起きです。そんな風に言いたげな声で、呟いているのは、もちろん真綾だった。

「真綾!? 何でお前、ここに居る?!」
「あー、いやね。あれだよ……寝てる仙蔵の顔を見ようかなーって……」
「はっ……?」

 言葉が出なくなった。先ほどの夢とは、全く違う意味で。
 こいつは、何を言っている?

「ほら、寝てる仙蔵をあわよくば襲っちゃおうかなあーとか」
「とか?」
「あと、髪撫でたいなぁーとか」
「とか?」
「それに、でこちゅーとか……」

 ぶちん。

「んー……あれ、仙蔵、何か……火薬臭い」
「ほう、お前も火薬の匂いを嗅ぎ分けるようになったか」
「え、ねえ仙蔵……何かバチバチ聞こえるよ?」
「真綾、少し外に出ろ」

 そう言って、私は真綾を蹴飛ばす。真綾は「うおっ!?」と小さく叫んで私の部屋から飛び出た。それからためらいも無く、私は焙烙火矢を真綾に向かって投げた。

「え」

 爆発音。

 それから、私はまた焙烙火矢を取り出す。予備は幾らでもある。

「わー?! せ、仙蔵!?」
「逃げるな!!!」

 爆発音、爆発音、爆発音。

「ぎゃぁぁぁぁぁぁ!! 死ぬ、死ぬ、死ぬぅ!!!」
「いっそ死んでしまえ!!!」
「いやあぁぁぁぁぁぁぁー!」

 爆発音、爆発音、爆発音、爆発音、爆発音。

***



「……爆発音?」

 裏山を鍛錬のために走っていた文次郎は、忍術学園からした異常音に気付いた。遠目から忍術学園を見て、いくつかの煙が立っていた。

「もしかして……、襲撃か?!」

 間違いない、そう確信した文次郎は一目散に忍術学園へと走ったのだが……

「いやぁぁぁぁぁぁぁ! 文次郎助けてぇぇぇぇぇぇ!!!」
「こんな奴に助けなど要らん! そこを退け、潮江文次郎!」
「何が起きたんだ、何が……」

 黒こげ寸前でも丈夫に逃げ切り、文次郎の後ろに涙目で隠れる真綾。
 その真綾を睨みだけで殺そうとする勢いで、恐ろしい形相をしている仙蔵。

「この男が私の部屋に無断で入り込んだ!」
「仙蔵が俺に焙烙火矢投げつけてきた!」
「どっちも日常茶飯事だろうが……」
「「どこがだ!!」」

 真綾と仙蔵が息ぴったりに文次郎に怒鳴る。普段なら自分が怒鳴って周りがびくりと肩を震わせるのだが、今日は逆だった。真綾と仙蔵の気迫に、完全に負けた。

「ともかく文次郎、その背中に居る男を渡せ」
「じゃあ、お前が俺の嫁になれ!」
「黙れ真綾!!」

 真夜中に自分越しに叫ばれて、文次郎は鍛錬以上に疲れてしまった。

(何で俺が壁になってるんだ……)



恋の爆発音
(潮江文次郎、早く渡せ!)(マジ隠れさせて!!)(……頼む、寝かせてくれ)





文次郎が思いのほか苦労人ポジションになってしまった。
でも私の愛は完全にい組にあります。とりあえず文次郎は仙蔵のストッパーだといい。
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