気づきたくない感情（落乱）

実は食満→真綾だったりするのです。
ちょっと重い感じで二人の話を。

馬鹿馬鹿しい。
俺が、こんな感情に振り回されているなんて。
馬鹿じゃないのか、俺は。

「食満？」

俺の名を呼ぶ、その声に息が詰まる。
瞬きをして俺を見る、その表情が愛しい。可愛い、と言ったらきっと本人は不機嫌な顔をするだろう。
……いや、違う。
何でも俺は、こんな事を考えているんだ。何で、俺は。

「どうしたんだ、食満。なんかお前、変だぞ？」
「何がだ」

俺が尋ねると、目の前の真綾が肩をびくりと震わせた。その表情は、怯えているようだ。

「怒ってる？」
「あ……」

どうやら俺は真綾を睨んでいたらしい。真綾が、小さく息を吐いた。

「ごめん」
「いや、いいけどね。でも、どうしたんだよ食満？」

どうした、と言われても。

「なんか……変だぞ」

変だ、と言われても。

「真綾、」
「なんだ？」
「好きだ」
「うん？」
「ごめん、何でもない」

この会話、約十五秒。

「何でも、ない？」
「本当に何でもないから。忘れてくれ」

不覚。何故、言ってしまったのだろう。言わずにおけば、真綾がこんな顔をすることも無かったのに。

「ごめん、男同士なのに」
「いや、別に」

仙蔵の事もあるし、と真綾は付け足した。それが俺としては辛いのだ。

「俺は、別に食満のこと嫌いじゃねぇよ。むしろ好きだし」
「う、うん」
「でも俺の一番は」
「立花だろ」
「うん」

だからごめん。真綾は言った。

馬鹿馬鹿しい。
こんな感情に振り回されているなんて。
もともと、あいつには好きな奴がいるって知っていたのに。

馬鹿馬鹿しい。



気づきたくない感情
（馬鹿なのは、俺だ）













とりあえず食満は言えないでうだうだ悩む性格だといいと思う。
あ、でもけまけましくペラペラ喋る食満も好き（笑）