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まるで夢を見る者のような、
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BLD注意。















「せーんーぞーおー!」
「諦めろ。仙蔵は俺たちが貰った」
「留さん、それ誤解を招くよ」
「留三郎てめぇぇぇぇぇぇ!!」

夏休みももう終わりを告げようとしているこの時期。みんな考えることは同じらしく、仙蔵の家には見事にいつものメンバーがいた。

「よう真綾! お前も宿題見せてくれるのか!」
「小平太までいんのかよ……ってかお前『も』って?」
「おれは丸写しする覚悟だ!」
「で、長次は?」
「……資料の、貸し出し」

なるほど納得。に、しても

「お前ら邪魔」
「はあ?!」

俺の一言に小平太と文次郎が声を上げた。

「俺たちだって写さないと困るんだよ!」
「うっせぇ文次郎! それはお前が宿題終わらせなかったからだろうが!」
「バカタレ! それはお前も同じだ!!」
「五月蝿い」

仙蔵の一言で一気に夏が冬のように冷え込んだ気がする。

「貴様ら、全員揃って私の宿題を写そうと言うのか」
「うん」

ここは俺と文次郎と小平太と留三郎がいきぴったりに頷いた。

「帰れ」
「おう、そうだ! お前ら帰れ!」
「お前もだ、真綾」
「そうそう俺も……って、えぇぇぇ?!」

仙蔵の言葉に俺、涙目。

「何で?!」
「邪魔だ」
「そうだな、邪魔だ。文次郎も留三郎も小平太も長次も伊作も」
「だから、お前もだ」
「何だと?!」
「真綾、お前は何しに来たんだ。まだこいつらはわかるが、お前は学年が違うだろう」

それを言われればそうですが。

「俺は、夏の最後を仙蔵と過ごそうと思って」
「帰れ」
「ひどっ?!」
「私は静かに夏の終わりを過ごすつもりだった。何故貴様らと過ごさないといけない?」

そんな風に言わなくてもいいじゃん……。けど、仙蔵の目はマジだった。

「仙蔵のいじわるぅ」
「いいじゃない、仙蔵。みんなで勉強会も、夏の思い出ってことで」
「ナイス伊作!」

流石みんなのスウィートエンジェル伊作! 一同拍手をする。うん、伊作の無垢な笑顔に仙蔵も言葉を失っている!

「……全く、」
「じゃーみんなで仙蔵の宿題写すぞー!」
「おー!」
「少しぐらい自分たちの力でしたらどうだお前ら……」

そんな風に言われてははは、と笑ったとき伸ばした足に何かが当たった。何だ、と思って手を伸ばしてそれを取った。

「真綾、何でお前がそのワーク持ってるんだ?」

それはどうやら仙蔵たちの学年が使う夏休みの課題ワークらしい。へー、と思ってぱらぱらめくると、それは白紙だった。

「これ誰のだ?」
「俺のはここにある。それはもう終わらせたぞ」
「俺のもあるぞ。確か終わった」
「私はここにあるよ。もう終わったし」
「おれはここにあるぞ! これだけは終わらせた!」
「じゃあ長次?」
「……家に終わったものがある」
「っつーことは……」

視線が一点に集まる。視線の先には、余裕の表情を浮かべていた仙蔵。

「私の、だと?」

仙蔵は引きつった表情をして鞄を見る。机の棚を見る。引き出しの中を見る。本棚を見る。

「せ、仙蔵?」
「ない。ワークが、ない」
「やった覚えは?」
「……ない」

その一言に一同が凍りついた。








宿題狂騒曲
(じゃあ写し終わったからおれは帰るかな……)(私も……)(俺も帰るかなー)(待て貴様ら)(ひぃぃぃっ?!)(私が……写し終わるまで、誰一人帰さんぞ……!)(やっかいなことになったな……)(全くだな……)(帰さないなんて言われたら俺ドキドキしちゃうぜ、仙蔵!)(お前は帰れ真綾)

















まさかの仙さま終わってないオチ(笑)
でもたまに仙さまはぽかする感じがいいよね^^ちょいポカって仙さまが愛おしい。
わ、私は宿題終わったんだからね!←←
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