まるで夢を見る者のような、
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「仙蔵のハゲっ」
いきなり酒を片手に部屋にやってきて、何を言い出すかと思えば、真綾は涙目になって俺にそう言った。
まさか初めて飲む酒がこの人の愚痴を肴にしてのものとは予想もしていなかった。真綾はチューハイの缶を潰しそうな勢いで握っている。
「……顔、真っ赤だ」
「うっせぇ。飲むんだ、俺は」
そう言って何本目かの缶チューハイを飲み干す。部屋が嫌に酒臭い。
「お前、飲まねえの?」
と、訊かれたので頷く。初めての酒だし、明日に酔いを響かせたくない。
一方の真綾と言えば、酔ったせいか虚ろな目をして床に転がっている空の缶をつんつんとつついている。真綾も明日、仕事があるというのに。
「……その辺にしたらどうだ」
「うるへぇ! 俺はまだ飲むぅ」
床に手を伸ばして中身のある缶をしたのだが、そのままぐったりとうつぶせになって真綾は床に倒れ込んだ。「あー」とか「うー」とかうなされている。ひどく酔っているようだ。
「……大丈夫か」
「うぅ……仙蔵ぉ……」
泣きそうな声で、真綾は言う。やはり、彼の名前はでても私の名前は出ない。
「んだよぉー、ちょっとキスしただけなのにぃ」
真綾はすすり泣きを始めて、最終的にはそのまま眠りについた。そんな背中に持ってきたタオルケットをかける。
名を呼ばれないのは、なんとなく寂しいものだ。せっかく一緒の酒をしているのに、寂しく、少しだけ悲しい。
「んぅ……ちょ……う、じ……」
そのとき、予想もしなかった名を呼ばれた。真綾は寝返りをうちながらうなり声を上げていた。
「あり…………がと」
一緒に酒、飲んでくれて。
そんな真綾の声が、聞こえた気がした。
アマサケ
(あなたと飲む酒が甘い)(一番甘くて甘くて仕方がないんだ)
オチは、ないよ^q^;←←←
長次は真綾に甘いと思うんだ!
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