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まるで夢を見る者のような、
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※BLD注意








「あれ、仙蔵じゃん」

突然上から声がした。少し当たりを見渡した後、倉庫の屋根の上を見ると、へらりと笑う姿があった。

「眠れないのか?」
「ああ。それより、お前は?」
「月を見ながら一杯ね。一緒にどうだ?」

杯を見せながら、私に声をかける。仕方ない、と呟きながら、私は屋根の上に登った。

「仙蔵って結構呑める?」
「そこそこだな」

久しぶりに呑むな、と思いながら一気に呑み干す。隣から、「おぉ」と間抜けな声が上がった。

「呑むねぇ、仙蔵」
「そこそこと言ったはずだ」
「いや、いい呑みっぷりだ。もう一杯いくか?」
「そうする」

杯の中に入った酒が、ゆらゆらと月を映す。満月はいびつな形になっていた。

「いい酒だろ」
「ああ」
「月を見ながら、愛する人との酒なんて、俺は幸せ者だねえ」

不覚にも、その言葉に心臓の音が高まった。やつは、やはりへらりと笑っている。

「あ、仙蔵照れてる?」
「黙れ」
「可愛いなあ。やっぱり仙蔵は可愛いよ」
「お前の口はどうすれば塞がるか試してみようか」

私が言うと、奴は吹き出した。同時に、私も笑いがこぼれた。

「っははははは」
「何が可笑しいんだ、そんなに」
「仙蔵だって笑ってるじゃねーか」
「それは、まあな」
「あー、幸せだなあ」

月を見上げながら、奴は言う。きっと互いに酔っているんだ。火照る頬の言い訳を自分にそう言い聞かせ、私は月を映した酒を呑んだ。





月見酒の夜
(こんな風に二人で呑めるなら)(何か特別な酒の肴とか)(特別な風景だとか)(そんなもんはいらないんだ)
(こんな風に二人で呑めるなら)(ただ隣にいるだけで)(酒はこんなにも)(幸せな味になる)















真綾×仙蔵
久しぶりに真綾と仙蔵の話が書けて満足です。
元ネタは学校行く途中にある商店街の吊り下げられてる川柳から。とても素敵な句でした。
もちろんですが未成年の飲酒はイクナイ(・A・)

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